清水 洋監査請求代表の手記
 
 
 
     
 問題点1へ 
 
 
推進連絡会の母体となったの「上野地下駐問題懇談会」の代表世話人の一人であり、監査請求代表の一人でもある清水洋氏〈弁護士)に上野地下駐車場の問題点と運動の到達点及び今後について手記をお願いしました。
お願いしたのは、8月中旬でしたので、8月31日の時点での数字などは事務局で加筆しました。
  1台1億円の税負担に異議を唱えて 上野地下駐懇から推進連絡会へ
     
7799名の署名にこんどは区議会が応えよ!
                  
清水 洋  〈弁護士)
この問題に取り組んでいるのは、採算が取れるかどうかも分からない地下駐車場の建設に、区民(国民)の税金を垂れ流すのは許せないという思いからです。
20年前に計画、いったん頓挫〈とんざ)
 台東区のこの地域(上野ー上野広小路地域)の地下駐車場問題は古くて新しい問題です。 1986年には「地元活性化」をはかるとして、台東区と地元商店会が中心になり、不忍の池の水を抜き、自動車2千台も収容する地下5層の駐車場を建設する計画が明らかになりました。
これに対して住民や著名人が「自然の池である不忍の池を掘れば、ハスが咲きカモが越冬する環境が破壊される」と「不忍の池を愛する会」をつくり、計画の中止を求めて運動し、第三セクター方式の出資計画のめどが立たなくなり、頓挫しました。
その後、予定地の変更や建設規模の縮小をへて、台東区は2000年度から5年間をかけて300台収容の駐車場を建設する計画を発表しました。
当時、日本共産党台東区議団は、大型駐車場の建設が街の活性化につながるのか疑問だと批判し、建設費用が巨額で採算を度外視した建設になることを追及していました。私もその批判にはうなづけるものを感じていました。
清水 洋氏
三者協定の締結〈02年)、05年突然の「2年工期延長・35億円増額」

台東区は02年度東京地下鉄株式会社〈東京メトロ)に工事委託して建設する協定を結びました。
(地下歩行者専用道路を作る東京都、地下駐車場を作る台東区と工事を委託される東京メトロの協定で『三者協定』といわれています)

建設費を135億円(うち台東区負担99億円)かける計画でした。
しかも、04年まで「工事は順調」との報告が区議会でなされていたのに、05年9月に突然工期を2年延長し、台東区の負担分を35億円増額する計画変更を発表し、12月議会(第4回定例区議会で議決しました。(東京都、東京メトロの負担分の全体で47億円の増額)
 署名提出集会で報告する清水氏
区議会の主管委員会では、驚きと疑問、批判が噴出しましたが、最終的に、この計画変更に反対したのは、日本共産党台東区議団〈5名)とチェンジ台東〈3名)だけでした。

(チェンジ台東は、台東区負担分の増額=第112号議案「(仮称)上野広小路駐車場建設工事施行協定の一部変更について」に反対しましたが、これと一体になった第100号議案 平成17年度東京都台東区一般会計補正予算(第4回)」には、賛成しています)
 
上野地下駐懇から推進連絡会へ
この建設計画は、大きな問題があります。
第1に 地下歩行者専用道路〈地下駐車場と一体になっているー東京都が建設)や機械設備費を含めると総事業費309億円にのぼります。
稼働率が上がらず厳しい経営状態の公営駐車場が各地にあるのに、台東区が、自動車1代あたり建設費1億円の駐車場をつくる必要はあるのかという問題です。

しかも、「財政が厳しい」と高齢者福祉など区民の暮らしを支える施策が次々に削られているのに区の負担分を東京メトロのいいなりにまって区の負担分を35%も増やすのは何事かという問題です。民間の建設工事なら通用しません。

私は、この計画の発表時から多くの区民、専門家の方とともに、「上野地下駐車場問題懇談会」をつくり、どうすれば「税金のムダ遣い、垂れ流し」をやめさせることができるかを考え、意見交換してきました。

一人でもできる「住民監査請求」という制度はありますが、この住民監査では請求では、「支出に違法性があるかどうか」しか問うことができません。また、区長が任命する監査委員による通常の監査では、十分な解明を期待できない問題もあります。
区の事業全般について監査できる事務監査を第三者による外部監査で行うことを求めることは、住民の自治の立場からも有効であるという結論にいたり、「上野地下駐車場問題懇談会」で討議していただき、多くの区民・団体の賛同を得て、この「上野地下駐車場外部監査請求署名推進連絡会」ができました。
(台東区は、今年、平成18年3月24日条例第4号 東京都台東区個別外部監査契約に基づく監査に関する条例=資料集1へリンク を制定しています。

事務監査請求は、(地方自治法 第75条、第252条の39=資料集1)有権者の50分の1(台東区では、9月1日現在で2816名)の署名が必要ですが、「推進連絡会」のよびかけで650名の受任者の方が、お盆休みを返上して署名を訴え、7799名の区民から署名が寄せられました。
 
区議会は、区民のイニシアチブに応えよ!
区民は、上野地下駐車場への税金投入にたいして明確な疑問の判断をしました。台東区議会が外部監査を行うかどうかを審議することになります。行政をチェックするのが『区民の代表』である議会の本来の役割です。その本来の機能の回復が求められている区議会が、この区民のイニシアチブにどう答えるのかが厳しく問われています。

事務監査を実現し、無駄な公共事業中心から区民本位に税金の使い方を切り替えていく一歩にしていきたいと思います。
 
   
     
  問題点1へ 
 
 
  
  台東区台東4-26-9 東京合同ビル5F TEL 5812-6851 FAX 5807-5122