2006年09月08日

ゲド戦記(ただし原作の方)

gedo_senki.jpg6巻目の外伝を除いて本編5巻を読み終わった。さすがに三大ファンタジー文学の一つに数えられるだけはあるなあというところかな。指輪やナルニアにはない独特の世界観、中でも「真(まこと)の名前」や「天地創造の言葉」といった、言葉の持つ意味が非常にクローズアップされているのが自分の琴線に触れた。

「ゲド戦記」とあるけれど、本当にゲドが主人公となって活躍するのは1〜3巻までで、10年以上のブランクを置いて書かれた続編の4、5巻はゲドは登場するものの、端役っぽい。

どの巻もそうなのだけれど、終盤まで結構淡々と進んでいく。そしてラスト間際になってぐぐっと物語が盛り上がる。終盤近くまでお預けされてどーんと盛り上がりすぐラスト、読んでいる者にとってはかなり飢餓感が募る手法だと勝手に思っている(笑)

さて、簡単に物語を紹介。舞台は「多島海(アーキペラゴ)」というたくさんの島がひしめく海洋社会。1巻目では少年ハイタカが魔法の才を認められ「ゲド」という真の名を授かり、ローク島の魔法学院で魔法使いの修行をしている最中、自分の力の過信と誇示から誤って呼び出した「影」との戦いを強いられる旅を描く。

2巻目はがらっと舞台が代わり、アーキペラゴの東の端、他の島の人々とは違い白い肌を持ったカルガド帝国。大巫女の生まれ変わりとして選ばれた少女テナーは、アルハという代々の名前を受け継ぐ。ある日自分が治める神殿の地下迷宮で、とある目的を持って潜入していた魔法使いと出会ってしまう。魔法使いはもちろんゲド。ゲドの探し物とは、そしてアルハの取った行動とは、を描く。

3巻は、アーキペラゴで静かな異変が起こり始める。まじない師や魔法使いが太古の言葉を忘れ始め、竜が約束を破ってアーキペラゴを飛ぶようになる。エンラッドの王子アレンは今や大賢人となってロークの学院を治めるゲドの元を訪れ、そのような世界の異変を知らせる。ゲドはアレンを連れて見えない敵を求めてアーキペラゴ中の島から島へ、海から海へと旅を続ける。

4巻は故郷に帰ったゲドとテナー、養女としたテルーとの物語。今までの話しの流れからするとかなり異色な巻だと思う。

5巻は、再び竜がアーキペラゴを侵し始め、不穏な空気が高まっていく。様々な人々の持ち寄った考え、直面している悩み、などがからみながら3巻で描かれた「あの場所」が実は・・・という展開。人と竜がかつて分け合ったもの、忘れられた物語が語られ、世界がどう変わって行くのかが語られる。

他の二つのファンタジーに比べて、とても示唆的で、神話的だなあと随所で感じる。特に5巻で語られる死生観はなかなか興味深い。ファンタジー好きなら一度は読んでみた方がいいと思う。

・・・え、映画ですか? ああ、見たけれども。うーん、言っちゃっていいですか? 一言「ひどい!!!!」とだけ。1〜5巻までをざっと読んで重要かなあと思うキーワードを抜き出して、色々自分なりに味付けしようと悪戦苦闘した結果、キーワードのそもそもの意味をすっかり忘れた挙げ句、ぜんっぜん違うモノが出来ましたー!(´▽`*) 的なノリ。「映画は3巻がベースです」ってあちこちで読んだけれど、3巻はあんなお話じゃあありませんから!!  何あの三文芝居。映画館で見てて笑っちゃったよ、ひどくて。久しぶりに金返せと思った。悪いことは言わないので、原作だけ読んだ方がいいと思う。ま、原作読んで映画見るぶんには笑えるのでいいかもしれないけれどね(笑)

投稿者 いづやん : 2006年09月08日 23:46 | トラックバック
コメント

ミクシィからたどりついたよ〜
ごぶさたしてます(^.^)おもわずゲドネタだったので喰いつきましたよ♪
わたしは、ゲド→指輪→ナルニアという順に出会いました。ゲドは1,2巻が好きだな。

Posted by: かなちゃん : 2006年09月14日 23:36

> かなちゃん
うわーっ! ひさしぶりーっ!
もうずっと前に送っていたのですっかりこちらも忘れてました(笑)

それにしても、かなちゃんがゲド好きだったとは。
人間、どこで何が繋がっているかわからないね。
ゲドは3巻が好きかも。1巻も捨てがたい。

ちなみにゲドと指輪はどっちが好きですか?

Posted by: いづやん : 2006年09月15日 01:43

指輪かな〜。じつはどれも最近読んだんだよ。
ゲドが2年前くらい(すべて図書館)。指輪1年前(図書館のちに古本買い集めた)。ナルニアも1年前。
「指輪物語は最初でつまずいて読んでないんだ〜」なんてはなしを、ファンタジー好きなママ友達に話したら、
「ゲドが好きで読めたんなら指輪も絶対読めるよっ」と、背中を押してもらって(笑)、読むとはまった。

ゲドはわたしも「アースシーの風」だけ実は未読。枝葉が分かれすぎた感が否めない。
個人的には女性視点が入らない、あくまでゲド視点のものが好みなのかも。
指輪は追補編もきちんと揃えたよ(^.^)

Posted by: かなちゃん : 2006年09月16日 16:33

ごめんなさい。訂正です。アースシーの風は外伝のサブタイトルじゃなかったですね。
外伝のみ未読です。

Posted by: かなちゃん : 2006年09月16日 16:35

> かなちゃん
おお、指輪好きですか!!(´▽`*)
指輪はもう好きで好きでー・・・と話すと長くなるので、
このblogのトップの右のメニューに
「ロード・オブ・ザ・リング」と「指輪物語」カテゴリーがあって、
過去の記事があるので、お時間ある時に読んでみてー。

ゲドの視点で、っていうのは分かるかも。
4巻なんて、びっくりだったしなー。
でも5巻も何げに割と好きなんだよね。

そうか、追補編まで持ってるとは、ホンモノですな(・∀・)

Posted by: いづやん : 2006年09月18日 12:38

俺もゲド読もうっと。
かなちゃん、追補編まで!!
もうひと頑張りして「シルマリルの物語」まで読んじゃうと、中つ国への愛がさらに深まるよ♪

Posted by: はせがわ : 2006年09月18日 23:24

> はせがわさん
ゲドもあるし、ドラゴンランスもありますなあ(ニヤリ)

そうだ、シルマリルまで読んでまた本編を読むと、
5倍(当社比)は楽しめるよ〜。

Posted by: いづやん : 2006年09月21日 02:44

シルマリル???
わたしもまだまだですね・・・
実はホビットの冒険も未読なので、そこからにするよ(^_^;
追補編をよんだのは、本編を読んだあとだったんだけど、ひとに薦めるときは、追補編片手に読んだら、分かりやすいよ。って言ってる。
なにげに、本編以降のストーリーも年表に載ってて、
ファンは必読だよね☆

Posted by: かなちゃん : 2006年09月21日 09:47

> かなちゃん
「シルマリルの物語」は、
中つ国を含む世界の創造から始まって、エルフの時代の第一紀から
ヌメノールの没落までの第二紀、第三紀の概要を語った本だよ。

年代順に言えば、
「シルマリル」→「ホビットの冒険」→「指輪物語」
となります。

ただ、シルマリルはちょっと叙事的な記述が多くて読むのに骨が折れるかも。
でも「指輪」本編で断片的に出てきた過去の固有名詞や歴史的事柄が語られているので、
シルマリルを読んでから「指輪」を読むと面白さが何倍にもなること請け合いです。

今は一冊になったバージョンが出ているのでよい時代になったなあと思う次第です。

Posted by: いづやん : 2006年09月22日 00:28

手元の辞典(追補編)で調べると(笑)1巻にシルマリル出てきてるんだね。
それにしてもいづやん、辞典より、詳しく分かりやすいよ(^.^)
中つ国の最初って読んでみたいかも。また本探そっ

Posted by: かなちゃん : 2006年09月22日 23:53

> かなちゃん
シルマリル(ノルドールの大宝玉)は、
ある意味トールキンの作ったこの世界を象徴するものの一つと言えるかも。

最初、世界に光を与えていた二本の木の輝きを閉じこめた三つの宝玉であり、
その素晴らしさゆえに数多くの戦いと悲劇と勲があり、
最後にはそれぞれ、大地に、海に、空に、
その場所を得るという一連の神話は、本当によく出来ていると思う。

ネタバレになるのでこの辺にしておくけれど、
「旅の仲間」でフロドがガラドリエルにもらう「玻璃瓶」の光は、
実はシルマリルの光なのです。読めば分かるよ〜(゚∀゚)

こんな感じで、指輪本編に出てきたちょっとしたものでも、
実は背景に深い歴史があったりして
それを自分なりに発見するのがとっても楽しかったりするのが、
この世界の魅力なのですよ、ね、はせがわさん?(笑)

Posted by: いづやん : 2006年09月23日 12:30

ほほぉ〜
あの長い本編にもおさまりきらないような、深く細かい歴史のシワみたいなエピソードがたっくさんあるわけですね☆
いづやん、はせがわさんとまたたっぷり話したいなぁ

あっ、話はまったくそれますが、ワタクシ、映画ではレゴラスさまですが、原作はサムが好きです(^.^)

・・・ゲドの日記だったのに、指輪でひっぱってごめんなさい

Posted by: かなちゃん : 2006年09月23日 15:15

> かなちゃん
確かに指輪本編は長いけれど、
世界の創造から指輪本編の長さ、重要さを見ると、
もうホント、第一紀から第三紀までの、
神話時代としての世界の衰退の最後の部分なんだよね。

レゴ好きですか・・・
イケメンに弱いのは、どこかのオクサマも一緒でした・・・(笑)
原作のサムはホントに男前だよね。

Posted by: いづやん : 2006年09月25日 01:04
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