2006年06月18日

たまに読みたくなる

akarui_ryojou.jpg色々忙しくて、ぽこっと空いた時間にお茶とケーキと読書を。池澤夏樹という作家が好きで古本屋に立ち寄ると必ず探しているのだけれど、そんなに置いてないことが多い。読者は本当に池澤党で買ったら手放さないのか、そもそもあんまり売れてないのか。前者であると勝手に想像している。

今読んでいるのは紀行エッセイ集「明るい旅情」。ドミニカ沖で出会ったクジラを、地球の裏側の日本から考える日々。世界中で一番日本に遠いところと考えてたどり着いたナイル川の広大な湿地帯。野を旅する者たちから生まれた料理と、現代の食卓の関係性。沖縄にはまってヤンバルという場所と地名について思索しつつ目に見えるヤンバルを探す旅、などなど。

池澤夏樹の文章は、精緻な思考の果ての発露なのだけれど、それを瑞々しくて、音楽や香りのするような表現で以てするりと読ませる。あまり日本の作家は読まないのだけれど、この文体は確かに池澤夏樹にしか書けないだろうという特徴がとても良く現れていて、それがすごく好きなのだ。

彼の作品を三冊上げるとすれば、バリ島を舞台に、麻薬中毒になり逮捕された兄とそれを救おうと奔走する妹の物語「花を運ぶ妹」、これも南の島の物語だけれど、架空の島の大統領とそこに渦巻く陰謀を、不思議な人々と数奇な運命と絡めて語る「マシアス・ギリの失脚」、アラブの戦場から日本に密航して逃れてきた青年が、様々な人々と交わり別れるうちに、いつしか歌い手として成功していく「バビロンに行きて歌え」。

まだまだ彼の作品の読むべき作品はたくさん残っているけれど、たまに思い出したように買って読む、そんな付き合いが割と楽しい。

投稿者 いづやん : 2006年06月18日 20:58 | トラックバック
コメント

わたしは、池澤夏樹さんはまだ読んだことありません(@@)
かなりワールドワイドなかんじなんですね!
おもしろそうかも。。。

どうでもいい話ですが、確か池澤夏樹さんのお嬢さんは、「春菜」さんっておっしゃるんですよね。
「夏」樹さんのお嬢さんが「春」菜さん。
さすが作家だ!と思った記憶が・・・(笑

Posted by: ハルナ : 2006年06月18日 21:41

> ハルナさん
池澤夏樹、面白いですよ。
「花を運ぶ妹」は特にオススメです。
分厚い文庫ですけど、引き込まれますよー。
良ければ貸します(・∀・)

そうそう、池澤春菜さんっていう声優さんなんですよね。
先日初めて知りましたよ。
パパに似なかったのか、結構可愛い(笑)

Posted by: いづやん : 2006年06月18日 23:56

私のマイミクのぐりんさんに高校の時お誕生日にもらった本が池澤夏樹の本でした。(たぶん処女作)本当に音楽のような文章だよね。
読んでて気持ちいい。

Posted by: Oranda : 2006年06月19日 02:13

池澤夏樹さんですね。
確か相当沖縄好きの方だと聞いたことがあります。
もしかして移住されたのかな?
南部の方の喫茶店で誰かが見たとかよく来るとか言っていました。

ちなみにうちの子は夏樹でなくハルキといいます
(^。^)

Posted by: aya : 2006年06月19日 09:51

> オランダ
そうそう、その話し前に言ってたよね。
読んだのは確か「スティル・ライフ」
本当に音楽を聴いているかのようにするりと読めたよ。
そういう意味で言うと、「花を運ぶ妹」は結構異質かも。
密度の濃い、それこそ物語の舞台のバリみたいな濃厚な匂いのする文章だったよ。
機会があるなら是非。


> ayaさん
相当沖縄好きで、以前ここでも紹介したことがある
「沖縄なんでも事典」を編纂してますね。
そして何年かに渡って沖縄で暮らしてます。
今は南フランスに移住したと思います。

息子さん、夏ではなくて、ハルなんですね(・∀・)
色々作品を見ているとなかなか大物の風格漂うアーティストのようですね(笑)

Posted by: いづやん : 2006年06月20日 00:58
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