2005年09月13日

神島紀行 1日目 その2

kamishima_06.jpg宿は民宿「喜代恵」。本当に誰かの家に泊まりに来たかのような普通の古い民家で、通された部屋がなぜか十畳ほどもある。もしかして相部屋・・・?と思ったけれど、そうではないみたい。客は自分の他にもう一人いるだけみたいだ。心配していたクーラーもちゃんとある。

一休みして散歩に出かける。集落の中をさらに歩いて、集落の真ん中、214段の長い階段の上にひっそりとたたずむ八代(やつしろ)神社に行ってみる。海の神様「綿津見命(わだつみのみこと)」を祀っている神社だ。この階段の途中、後ろを振り返ると海が見えてとても綺麗。ところで、個人的にはお寺より神社の方が好きだ。日本古来の心の拠り所だし、ちょっと前までの日本人全ての生活に密着していたのは神社だったからだ。

kamishima_07.jpg遙か昔から、採集や農業や漁業などと言った生活の基盤に対する感謝の念が、神社という形で連綿と続いてきた。特に、こういう小さな村の中にある神社というのは、今でも村の人によって、村の人のためだけに、神様が祀られている。そこでの祭りは観光化されたものとは違って(御輿担ぎに参加したことのある三○祭は最悪だった)、本当の意味での奉り(まつり)が今もある。自分にとっては、壮麗な寺よりも、なんでもない鳥居のほうが遙かに魅力的だ。

八代神社に行った後はどこをどう通ったのか島の西側に出たのでそのまま道なりに南下して、椎名誠があやしい探検隊シリーズ第一弾「わしらは怪しい探検隊」の栄えある第一話の舞台となった、ここ神島の「古里の浜」に降りてみようと思ったのだけれど、道路から浜に出る道がそれはもう草ぼうぼうでとてもじゃないけれど行けなかったので、さらに先に進んで「祝いが浜」あたりでぼーっとしてみた。釣りをしている人たちがいるけれど、泳いでいる人は皆無。そりゃそうだ。台風が近づいているので伊勢湾の入り口に位置するこの島の周囲はすでにうねりが出始めていて、波がざぶざぶ押し寄せてくる。

kamishima_08.jpg夕方集落に帰って、港の一番外側の突堤に足を伸ばす。釣りをしている人がここにもたくさんいる。テントを張っている人もちらほら。夕日はあまり焼けなかったけれど、のんびり眺めるなんて久しぶりなのでとても満足だった。

宿に帰って風呂に入って、部屋に戻ったらなかなか豪勢な夕飯が用意されていた。さすが漁労の町、というところか。カサゴの煮付けや、サザエの壺焼き、アワビの刺身などなど。なによりうれしかったのは、身だけで赤ちゃんのこぶしほどもある大きな生の岩ガキ! ほんのり潮の香りと、濃厚なミルクの味で大満足! 

・・・初日からなかなか濃い一日だった。

投稿者 いづやん : 2005年09月13日 23:23 | トラックバック
コメント

その2も楽しかった。ありがとう!

四国のオススメ島は瀬戸内でななくて、太平洋側なんだ。
沖ノ島。

http://www.city.sukumo.kochi.jp/kankou/okinosima.html
とか、
http://kochinavi.jp/area/ag001/ag001h02.html
で、様子がわかると思うよ。

特に母島(もしま)集落は良かった。
急勾配の斜面に、家がびっしりと建っている光景は壮観だった。
自然の平地がないから、石垣を組んで僅かな平地を作り、家を建て、畑を作っていた。

海岸から山の上の方まで石を運んで石垣を組んだ小さな畑。
男は漁に出ているから、石を運ぶのは女、子供の役目だった。
そうして苦労して作られた猫の額ほどの小さい畑で大切に育てられている野菜を見ていると、心がジーンとしてきたな。

もともと釣りがメインの島だから、宿に予約の電話した時にも、
「釣りをしないで、何しに来るんですか?」
なんて、不思議がられた。。。

Posted by: その : 2005年09月14日 01:25

神島とってもすてきですね☆
港の写真いいなあ。

あたしもお寺より神社のほうが好きです。
去年、青春18切符で熊野にいってきました(^^)

熊野古道歩いて、いろいろめぐって昔からの熊野信仰が納得できるなぁ〜って、神はいるなぁ〜って感動してきました(照)
だから、なんでもない鳥居のほうが遥かに魅力的だっていうのわかるなぁぁぁぁ。

Posted by: あゆ : 2005年09月14日 23:13

> そのださん
おお、石垣だ。すごいですねえ。
この島も行ってみたいなあ。苦労が偲ばれるっていいですね。
それにしても、海が綺麗だ。
神島は海が荒れていたせいもあってか、綺麗、という印象はなかったです。

> 「釣りをしないで、何しに来るんですか?」

オレは「仕事ですか?」って聞かれました・・・(笑)
島の人にしてみれば、こんな何もない島に
何を好きこのんでやってくるのかと思うんでしょうね。


> あゆさん
> 港の写真いいなあ。
ありがとうございますっ、うれしいです(・∀・)

熊野に行ってきたんですね! いいなあ、すごく行ってみたいです。
「神様はいるなあ」っていうのはなんだかすごく共感できますね〜(笑)

姿・形のある神様じゃなくて、生活という名の信仰、というのでしょうか、
そういうのが感じられるのが好きですね。
そんな空気が未だに感じられそうな熊野、憧れの地だなあ。

Posted by: いづやん : 2005年09月15日 00:09

いづやん、こんばんは。

熊野は本当におすすめです☆宿とって行かなかったんでけど、駅前の観光案内所(っていってもおばあちゃん1人)で、ちゃっちゃと民宿とか探してくれるし、お料理おいしーぃし、はなまるですよ(><)

あたしは3泊4日でいったけど、現地でやすーくレンタを借りるとかなりおすすめの神社へゆけます。
「玉置神社」があたしの熊野No.1でした◎

今度熊野行く時はいってくださーい!

>生活という名の信仰
って言葉いいですね。ステキな言葉☆
ほんと、その通りだと思います。
自然とともに生活があるからこそ、成り立つものですよね。

Posted by: あゆ : 2005年09月15日 22:10

> あゆさん
宿とって行かなかったって、なんだか旅慣れている感じですな。
レンタはレンタカーですよね?
レンタスクーターでもある意味オッケーなんですが(笑)
身軽に行動できそうで。

熊野行く時は色々教えてくださいね。

> 自然とともに生活があるからこそ、成り立つものですよね。

うんうん、そういうを求めてやまないのです。
今回の神島行きでも、電車で外を眺めていたら、
田んぼの中に大きな木が立っているところがちらほらあるんですけど、
それはその辺りの鎮守の森、お社があるところなんですよね。
そういうのを見ると、理由はなくともいいなあと思いますね。

Posted by: いづやん : 2005年09月16日 00:47
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