2004年09月04日

LOTR「王の帰還」DVD発売記念 極私的ランキング【第五夜】

lotr_lank_5.jpg先週からおかしかった目のかゆみがひどくなって一日お休み。20年ぶりに眼科に行ったら、カワイイ看護婦さんがいてねぇ。もっと見ていたかったのだが、朝一に行ったのであっさり診療が終わってしまって残念。だが治療と一緒に目の保養もできたのでよしとするか。目は大切にしましょう。あ、結膜炎でした。・・・小学生か、オレは。

さて、この「極私的ランキング」を書き始めた8月30日からこのサイトも順調にアクセス数を右肩下がりに落としているけれど、それでも書く。ビルボとフロドの如く書ききる。今夜は「得をした人々」と「割を食った人々」の二つ。モルドールの闇に目をこらすと、役柄を分けた明暗が垣間見える・・・かも。

【得をした人々】

  1. レゴラス
  2. サム
  3. ギャムリング
  4. アラゴルン
  5. PJの子供たち


1位。今さら説明の必要もなし。今やハリウッドを代表するイケメン俳優の仲間入りを果たしたオーランド・ブルーム演じるレゴラス。何がすごいかと言えば、彼は演劇学校を卒業したばかりでこの大役を手に入れている。まさにシンデレラ・ボーイ。世界中の婦女子を映画館に走らせた功績は大きい。そして劇中でも頼れる弓の名手として、また笑っちゃうほどの体術の持ち主として旅の仲間を助ける。・・・だが一言言っておこう。映画バブルでようやく邦訳が出た『終わらざりし物語』で、トールキンは「レゴラスは九人の徒歩の者の中でおそらくもっとも勲が少なかった」と述べている。劇中の活躍も映画バブルだぞ、レゴラス君、んん? ・・・決してきゃーきゃー言われているのをひがんでいるわけではない。決して。

サムは、原作でももちろん最後には英雄になるのだが、映画ではことさらに「指輪所持者はフロドよりサムの方がいいんじゃないのか?」という至極もっともな意見が出るほどの活躍を見せる。まさに「Samwise the Brave」である。さらに三部作全ての泣き所(TTTの悪名高きオスギリアス大演説も含め)に絡むというおいしさもある。ラストも(原作通りではあるが)彼で締めくくられる。サム、いいんだけどなあ。好きなんだけどなあ、問題があるんだよなあ。問題提起は最後のランキングで。

ハマが死に、ギャムリングが活躍する。だいぶ得していると思うのはオレだけだろうか。ヘルム峡谷の決戦の前に、角笛城の一室でセオデンに鎧をつけるシーンなんて、かなりいい。良すぎてギャムリング(という名前からイメージする原作での役割)には惜しいくらいだ。最初からギャムリング役の俳優がハマをやっていればよかったのでは?(笑)

4位。我らが王アラゴルンは結構お気に入りキャラクターだ。ランキング入りこそしなかったが、ヴィゴ・モーテンセンのアラゴルンはハマっている。LOTRシリーズに出る前から色々映画に出演しているが、今いちブレイク出来なかった。それが、アクションもこなせて、ストイックなその人柄、演技への取り組み方から、LOTR後のオファーも順調に来ているらしい。TTTなんて誰が見ても主役だった。

5位は、父PJとともに三部作全てに登場している、PJの息子と娘である。FotRではビルボの誕生日パーティーで話を聞くホビットの子供。TTTでは燦光洞に避難してこれから始まる戦に不安げな表情の子供たち、RotKでは絶望的な攻撃を仕掛ける前、ミナス・ティリスの街路を馬で過ぎるファラミアたちを見送る群衆の中に紛れた子供たち。全世界に一番かわいい盛りの我が子をお届け!なPJは単なる親バカの範疇を超えてしまっている。WETAのスタッフとか、自分とか、トールキンの曾孫を出演させてみたりとか。そりゃあ史上最大のホームビデオ映画とか言われるわなあ。まぁ、可愛いからいいか。

・・・と、ここまで書いて、なんだか得をした人々へのやっかみみたいになってしまっているなぁ。


【割を喰った人々】

  1. エオメル
  2. ハマ
  3. メリー
  4. ギムリ
  5. デネソール


エオメルは、第18代ローハン国王である。・・・原作読者なら知っている事実だが、それなら原作未読者は? 知っているはずがない。TTTではアラゴルンとエドラスでの再会を誓うこともなく、ギムリとガラドリエルの美しさについて意見を戦わすことなく、ヘルム峡谷の戦いにも参加しなかった。いやできなかった。RotKでは予告で確かにあったエオウィンかセオデンを抱えて泣くシーンもなく、もちろんペレンノールでセオデンから王旗を継承するシーンもない。おいしいところは全て妹エオウィンに持っていかれてしまっている悲しさだ。個人的に一番悲しいなあと思ったのは、最終戦略会議で、旅の仲間に混じって一人「部外者」としか映らないような立場で、ちょこっとの台詞を言わされる場面である。もうちょっとなんとかしてあげてもよかったんじゃないのかなぁ、PJ。重要人物なのに、ヘタしたらギャムリングの方が目立ってしまっているくらい、割を食っている。

2位は同じくローハン組。近衛隊長のハマは、噂によるとギャムリング役の俳優をPJが気に入ってしまったために、あんなにあっさり死んでしまったということだ。なにせヘルム峡谷への移動中にワーグの襲撃を受け、最初に死んでしまう。ワーグとオークを倒し終わった後、セオデンは死者はこのまま置いていこうという。あれ〜、原作の世界を地図化した『中つ国歴史地図』にはヘルム峡谷で討ち死にしたハマの墓が載っているというのに、ヘルム峡谷での武功も、名誉ある墓も、映画のあの太っちょハマには無しである。合掌。

3位。相方大活躍の陰に隠れてしまった感のある、ローハンの騎士ホルビトラン殿メリーである。RotKの原作の様々な側面のうちの一つに、今まで一緒だったメリー&ピピンが初めて離ればなれになって、ローハンとゴンドールそれぞれの支配者の最期を目撃する、というものがある。劇中のメリーは予告に確かにあったセオデンに仕官するシーンもなければ、王の最期を看取る感涙必至の名場面もなしである。バランスをとるなら、ぜひともメリーにもスポットライトを当ててほしかったなあ。エオウィンと馬で活躍なんていいからさ。LOTR後のオファーも、ピピン役のビリー・ボイドの方が多かったらしい。メリー役のドミニク・モナハンはしばらく仕事らしい仕事もなかったというではないか・・・(T_T)

ギムリは・・・いつの間にかメリピピに代わりコミックリリーフに成り下がっていた。背が低いとお笑いしかできないのか? そんなことないだろう。実際は「ららら〜るるる〜〜♪」とつい歌ってしまうキャラのはずのレゴラスを「サムライのように演じた」しわ寄せが、ギムリにきているのだろう。相方が寡黙な必殺仕事人を決め込むなら、そりゃウッカリ八べえを演じるしかなくなる。そしてもう一つ、割を食ってしまっているなあと思うのは、ギムリ役のジョン・リス=ディヴィス。ドワーフ用のメイクをするのに塗ったラテックスと接着剤のせいで顔が腫れて人に会いたくなくなり、段々部屋に閉じこもりがちになってしまった。それで他の出演者と仲良くなる機会が減ってしまったというのだ。

5位はサルマンとどちらにしようか非常に悩んだ。ただサルマンは存在感を示したFotRとTTTのこともあるし、RotK劇場版では全カットだったシーンがSEEで復活するので、次点扱い。デネソールは、SEEでいくら映像を追加されようと一度落とされてしまった執政の威厳がそう簡単に戻ってくるとは思えない。せめて最期くらい自分で執政の杖を折り、パランティアを抱えて炎の中に横たわって欲しかった。映画はどういう角度で見ても、「ファラミア可哀相だなあ、こんな頭のオカシイ父親がいて」と思われて当然。汁を垂らしながら食事するシーンなどは、悪趣味の極みである。ローハンの支配者セオデンとはあまりにも違う扱い。ゴンドールの大公、諸侯、国民に幸あれ。

・・・もちろん全ての役に平等に光を当てるのは至難の業だが、少し変えるだけでもだいぶ違う部分がいくつもあるかと思う。ま、最後に決めるのはPJの好み、であるのだろうが。おもしろいのはこうして書いていて、対になった役柄の片方が得をして、片方が割を食っているように見えてきたことだ。

投稿者 いづやん : 2004年09月04日 03:13 | トラックバック
コメント

【得をした人々】
アルウェン
レゴラス
精霊山の亡霊たち
サム
ボロミア

【割を喰った人々】
ハルディア
ファラミア
デネソール
名のあるオークたち(みんな名無しさんに)
アンドゥリン(出番半減、人じゃないけど)

Posted by: かいちょう : 2005年01月08日 23:18

(訂正)
【割を喰った人々】
アンドゥリル(出番半減、人じゃないけど)

Posted by: かいちょう : 2005年01月09日 00:16
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