「ワイルドライフ写真大賞」というのを知っているだろうか。ロンドン自然史博物館とBBCワイルドライフマガジン誌による、プロ・アマを問わない世界最大の自然・生物を対象にした写真コンテストなのだ。
その受賞・入選作品の展示「ワイルドライフ写真大賞展2004」が上野の国立科学博物館であった。この日曜が最終日だったのでとにかく行ってみようと思い立った。行ってみたら、天気が良いせいか、上野駅の公園口は大賑わい。久しぶりに来た科学博物館前のシロナガスクジラの像が、いつ見てもでかくてすごい。死ぬまでに一度生で見てみたいものだ。
さて、会場の中には世界52カ国、1万8500点の作品の応募から選ばれた50作品くらいだろうか、が展示されていた。どれも確かに思わず唸る良い作品ばかり。大賞は南アフリカ喜望峰沖のイワシの大群に突進する二頭のクロヘリメジロザメを捉えた写真。今まさに口いっぱいに捉えたイワシがこぼれ落ちそうで、なおかつ撮影者にぶつかりそうな距離にサメがいて迫力満点。・・・というか、イワシを補食するのに夢中で何度も撮影者にぶつかったんだそうだ。コワイ・・・。
大賞も見事な写真だったが、一番心を惹かれたのが、「キンイロジャッカル、コフラミンゴを追う」という題の写真。湖の泥の浅瀬を頭を低くしてフラミンゴを狙うキンイロジャッカル。前景と背景にはアウトフォーカスのフラミンゴが配置されている。このジャッカルが泥まみれで、しかし獲物への執念というかがその低く下げた頭と視線、蹴り出した後足に力強さが感じられて、ただ綺麗な野生動物の写真よりも一段上の美しさがあるなあ、とすごく心を動かされた。
会場だった科学博物館は、閉館1時間前だったのだけど、折角チケットを買ったので少し見ていくことにした。去年の11月に新館がオープンして、行ってみたいなあと思っていた。ちなみに今本館は工事中。・・・中に入っていくと、これがすごいのだ! 一階部分は「地球の多様な生き物たち」というテーマに沿って、「多くの種に分かれて進化した生き物たちが、様々な環境に適応し、独自の形態や生活様式を持ちながらお互いに深くかかわりあって生きている姿を紹介します」というコンセプトで、色んな生き物の模型や標本があちこちに綺麗に展示されている。頭上を見ると巨大なマッコウクジラの骨格標本がぶら下がっていたり、見たこともない魚の模型が整然と並べられていたり。
圧巻なのは、奥にある「系統広場」というホール。ここは楕円形のホールを囲むようにガラスの背の高いボードが取り囲んでいて、その中に「動物界」「植物界」という生物を大きく二分した系統から、さらにどのように分かれているのかが、標本や模型、イラストなどを立体的に配して見せているのだ。こちらに菌類があるかと思えば、向こうの橋にはクマがいたり、簡単な植物があるかと思えば、たくさんの被子植物の押し花風の展示もある。頭の上にはミンククジラの骨格があると思えば、ラブカの模型が浮かんでたりする。このホールだけでもずいぶん楽しめるのだけれど、この新館、地上3階、地下3階の規模。1日かけて全部見られるかどうか。
ともかく、写真展目当てに来た国立科学博物館。ある種の人たち、そしてサメの人たちならなおさら、ディズニーランドよりもずっと楽しめること請け合い、なはずである。・・・また近いうちに行こうっと。420円であれだけのものを見られるんだから安いよ、ホント。本館が復活したらどうなるんだろう。すごいことになりそうだなあ。
投稿者 いづやん : 2005年02月28日 23:35 | トラックバック初めまして。僕もたまたま、金曜日に行きました。時間がなくて写真展は見れなかったのですが、いい写真が沢山あったんですね。残念!学生の頃に鳥の写真をよく撮っていたので何だか懐かしい。ちなみに、僕は新館にある古代カヌーのホクレア号を見るのが目的でした。新館は時間のある時に、またゆっくり行きたいと思いましたよ。
Posted by: sloth : 2005年03月03日 00:33こちらこそ初めまして。コメント有り難うございます!
確かに写真は良いものばかりでしたねえ。
寒い朝焼けの中、葦の茎に留まったオオヨシキリの口から白い息が立ち上る、
なんて幻想的な写真もありましたよ。これもお気に入りでした。
この写真展は上野での会期を終えた後は全国を回る予定だそうで、
もしかしたらまた見られるチャンスがあるかも知れません。その時にぜひ。
> 僕は新館にある古代カヌーのホクレア号を見るのが目的でした。
ホクレア号・・・もしかしてナイノア・トンプソンの船ですか?
もしそうだったら是非見てみたいです。
期間限定なのかしら?
結局自分はその日、新館の一階部分、しかも駆け足で見たに過ぎなかったので、
今度はじっくり時間を掛けて見たいですね。それだけの価値のあるものがたくさんありますよね。
ワイルドライフ大賞は全国を回るんですか、いいこと聞きました。機会があれば行ってみます。
そうです。ホクレアはナイノア・トンプソンがナビゲータを務めるカヌーです、詳しいですね。ホクレア号が日本にも来るという話があり、興味津々でいるのです。
ちなみに、ホクレアは常設です。ハワイで精密な模型が作られたようです。
Posted by: sloth : 2005年03月03日 21:51ナイノア・トンプソンのことは映画「地球交響曲第三番」で知りました。
まあ、映画で見たことくらいしか分からないんですが。
ほほう、模型なんですね、原寸なのかなー。
今度見に行ってみよう。
私もその写真展見ました。良い写真が揃ってましたね。撮影風景を見ると殆どがキヤノンの長白玉なんで、ミノルタ使いの私はちょっと寂しかったですが。
Posted by: Hokulea2006 : 2005年04月05日 08:38TB、コメントありがとうございました。
撮影データ、載ってましたっけ?
写真を見るのに夢中で気が付かなかった・・・(^_^;)
カメラの機材なんて今の時代どれ使ってもそれほど変わらないですから、
気にしない気にしない(笑)
・・・かくいう自分はEOSユーザーですが。
でも、ミノルタのα-9はファインダーが明るくてピントの山が合わせやすい名機ですよね。
撮影風景紹介ではほとんどがEOSでした。RTS3もありましたけど。
Posted by: hokulea2006 : 2005年04月13日 08:31