フジテレビの木曜深夜は、以前から良い番組が放送されている。「禁じられた遊び」や「お厚いのがお好き?」など、知的で遊び心にあふれた番組作りで、いつも見ていて感心させられている。
今は「ニューデザインパラダイス」という番組になっていて、これは今までごく普通に利用されてきた色々なモノを再びデザインし直す、新しいデザインに挑戦する、という内容だ。毎回今注目を集めているデザイナー、クリエイターに依頼を出し、その過程と結果の産物を放送している。
今夜は「そろばん」だった。ほほう、こういうアプローチもあるんだなと思ったが、一番「そうきたか!!」と脱帽させられたのは、「救急車のサイレン」の回だった。「サイレン(の音)をデザインし直してください」と言われたら普通あの「ピーポー音」に色々手を加えようとするだろう。
デザインを依頼されたのは、あの「世界遺産」のテーマを手がけたことで知られる音楽家の鳥山雄司。まず色んな国の救急車のサイレンを聞き比べたり、サイレンの音の音程やリズムを変えたりして試行錯誤する。どうすれば今より良いサイレン音をデザインできるのか。
そして依頼から20日。救急車から聞こえてきたのは・・・普通の、今まで通りのサイレンだった。「この音は完成されていてこれ以上手の加えようがない」というのが結論だった。だが、すごいと思ったのはここから。カメラは救急車の内部に入る。そこでサイレンを再度鳴らす。しばらくすると車内にも多少聞こえていた「ピーポー」という音に色んな音が被さってくる。そう、サイレン音をベースにして、曲を作ってしまったのだ。
外に対してはもっとも認知度の高い普通のサイレン音が最適だろう。だが、中に乗っている患者には、サイレン音は不安をかき立てるものではないのか。そう考えたとき、デザインの方向が決まったのだ。目から鱗とはこのことだ。サイレン音の必要性は救急車外部の人間だけれど、望むと望まざるとに関わらず患者の耳にも入ってしまう。ならば少しでも不安を取り除く「音楽」にしてしまおう、という発想の転換。
モノを作ると言うことはこういうことなんだろうなあと、常に色々な側面から物事を捉えていかなければなかなか良いモノなんてできないんだと教わった。良い番組だなあと久しぶりに思った。夜更かしさんならば、ぜひ。
投稿者 いづやん : 2004年11月12日 01:40 | トラックバックこの番組も、お厚いも見てたぜ。
難しい哲学も分かり易くて面白かったよな。
今やってるデザインのやつも、奇想天外で”さすがプロ!”って唸るよな。
> 難しい哲学も分かり易くて面白かったよな。
お、見ていたか。さすが夜更かし大王(笑)
毎回よく考えるよなーっていうたとえ話が面白かったなぁ。
で、毎回必ず男がフラれる(笑)
先週のは、「ティーバッグ」。
思いつきそうで思いつかなかった大きな丸いタグで
お湯にティーバッグを浸けてる間にカップにフタが出来るという代物。
ほほ〜う製品化したらいいなあと思ったさ。
もっとこういう番組が増えるといいのにな。
ゲーノージンがぎゃーぎゃーいう番組は、もういいよ。