星野道夫さんの生前の講演を文章にしてまとめた本「魔法の言葉」を読み終えた。最近星野さん関連の書籍がやたらと出て、一体どうしたことかと少し不思議だったりするけれど、ここにきてまた新しい側面を知ることが出来るのはうれしいことには変わりない。
作家の池澤夏樹さんがまたしてもこの本の解説を書いているが、池澤さん曰く「彼は本当に大事なことしか言わなかった。そして本当に大事なことは何度でも言った」と語っている。その通り。生前のエッセイでもいくつかの本で、同じエピソードを繰り返し語り、またこの「魔法の言葉」でも(毎回聴衆が違うというのもあるけれど)同じエピソードが続く。でもそれは語るべき内容が少ないからではない。きっととてもたくさんのものを見て、たくさんの話しを聞いて、たくさんの人に会ってきたからこそ、人に話すべき本当の話しを知っている、その表れだろう。
日々の生活で、誰かに会って、本当に語って聞かせたい話しが自分の中にあるだろうか。少し考えたけれど、思いつかなかった。
投稿者 いづやん : 2003年05月22日 01:44 | トラックバック