| 最大の武器 01/10: 矢吹 博牧師 |
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アメリカがテロによる大きな混乱と悲しみにあった次の日、私はドイツ・ライプツィヒのニコライ教会にいました。教会の入り口にはたくさんのロウソクと花束がアメリカの人々への慰めと励ましのメッセージとともに置かれていました。多くの人が教会に集まり、バッハのオルガン曲「人よ。あなたの大きな罪に涙しなさい」に耳を傾け、静かに目を閉じて祈る人もいました。 ニコライ教会は、1989年10月にベルリンの壁が破れて、東西ドイツが統一するという歴史的な出来事の直接のきっかけになった場所でした。あの時、教会では毎週月曜日の夜「平和のための祈り」が続けられてい ました。その祈りの集まりに人々が増えていき、やがて2000人の席がいっぱいになるまでになったのです。 そして、10月。教会での「平和のための祈り」をやめさせようと、警察や軍隊が動員され、教会を取り囲みました。しかし、結局彼らは教会で祈りを捧げていた人たちに何もすることができなかったのです。警察や軍隊を、ロウソクを持った多くの市民が、さらに取り囲んでいたからです。ロウソクを持つということは、それが風で消えないように片方の手も用いるということ、つまり、石や武器を持たないということを意味するのです。人々は血を流すことなく壁を打ち壊したのです。 当時東ドイツ政府の幹部だったジンダーマンは死の直前に「我々は完全な計画を立て、準備を怠らなかった。そう、ロウソクと祈り以外は・・・」と言い残しました。 今、報復をという言葉が画面や紙面を踊っています。テロは憎むべきものです。しかし武器を取って報復することで問題が解決するとは思えません。 祈りは悲しむ人に神の慰めをもたらします。力のない人に神の力を与えます。愛を求める人に、まことの愛をもたらします。 もっとも頼りなく見える祈りこそ、人を、そして国を動かす最大の武器であることを、私は信じています。 |
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