2003年11月21日

想像力

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朝たまに、有楽町の駅から仕事場に行く道で同じカップルを見かける。二人とも20代前半くらい、社会人としてこなれてきた印象がする。男は身長が180センチは軽く超えているのに対し、女の子の方は150ちょっとくらい か。そのせいだろう、男はゆっくり歩いているのだろうけれど、女の子にしてみればそれは自分のゆっくりの歩幅とは大違い。いつも小走りで追いすがって並 んで歩こうと必死で、「男どんどん先に行く」「女慌てて小走りになる」「女頑張って並んで安心し、少し歩く」「男また先に行く」「女走る」の繰り返しを 続けている。男は気が付いているのかいないのか、男だけを見れば調子を変えずにゆっくり歩いているようにしか見えないのに、女の子はけなげに文句も言わ ずただ小走りを繰り返しながらにこやかに話を続けている。

気付いてやれよ、といつも見るたびに思うのだけれど、体格差から来る歩く速度の違いは、その体になってみないと分からない。オレが太った人の気持ちなん て全くわからないのと一緒だし、元気な子供がお年寄りの不自由をよく理解できないのとそうは変わらない。そういうものだろう。ちょっと大げさだが、毎日 色んないさかいが起こるのも、相手の立場が分からないから、という要因も大きいと思う。

だからこそ、人間には「想像力」という力があるのではないか。「想像力」は何も妄想するためにあるのではなくて、相手の置かれた立場を「想像」して、相 手を気づかうことができる、そういう使い方がある。朝のカップルの男は、自分の考えで頭が一杯なのだろうか。少し、彼女のたてるヒールの音が耳に入れ ば、彼女がいつも一緒に並んで歩きたいと頑張っている様が想像できないだろうか。そんなことを、いつもこのカップルを見るたびに同情しながら(でも面白 半分で)考えたりする。

投稿者 いづやん : 2003年11月21日 10:23 | トラックバック
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