〜『まんが道』劇中キャラとしての森安氏〜 |
Qなぜ『キャバキャバキャバ…』と叫んだのでしょうか? |
Aまず、精神的な限界を超えてしまったものと思われます。(^^; キャバキャバと言う表現は森安語(笑)ではなくリアル新漫画党の中で流行ったナンセンス造語の一つだそうです。 『しょうがないや』という心境の時に肩をすくめて使ったりしたそうな。 が、森安氏は気に入ったのか実際よく言っていたようです。 また、リアルでは徹夜で書き上げた原稿を持っていく矢先の知らせだったとか。 『トキワ荘の時代・寺田ヒロオのまんが道(ちくまライブラリー)』と言う本に『最も打撃を受けたのは森安だろう』との記述があり。 リアルでは馬鹿騒ぎをするどころか、数日間ずっと落ち込んでいたのだそうです。 |
Q森安氏は、一体どこに住んでるの?? |
Aトキワ荘です。 初登場のシーンでは、外から帰って来て下駄箱でスリッパに履き替えますよね。 しかし、森安氏がトキワ荘に住んでいる事も明言されず、部屋も全く出てこないので史実に頼らないと解りづらいかも。 |
Q『人間シンバル』は本当にやった芸なのでしょうか…。 |
A謎です。 前途のように、史実ではチューダーパーティーで騒ぐどころの心境ではなかったようですし、他の機会にやったと言う話も見当たりません。 また、リアルでやったら小皿の処理がアレですし、憶測ですがA先生が『このアゴなら可能かも』とネタを膨らませた描写かも知れません。 |
Qなんで高級背広作ったの? |
Aわかりません。 |
〜実在の『森安なおや先生』編〜 |
Q名前について。 |
A漫画少年では『直哉』で統一。 他所や晩年は平仮名で『なおや』表記が多いようです。 ちなみに本名に見えますが、本名は『直(ただし)』だそうです。 |
Q森安先生は漫画少年に投稿した事がないそうですが…? |
A『トキワ荘物語・のるかそるか(トキワ荘青春物語/蝸牛者に収録)』の自伝部分から。 上京して弟子入りした田河水泡先生の元を勝手に離れ一人立ちの野望を企てるも、どこに持ち込んでも原稿は没。 途方に暮れた森安先生が古沢日出夫先生の元に押し掛けた所テラさんを紹介され、その後新漫画党経由で登場したようです。 ご自身は投稿経験の有無で後期の仲間達と差がついてしまったのだ、後に語られています。 |
Q例のキャバキャバの時、学童社に提出するはずだった原稿は何? |
A漫画少年最終号に掲載予定だった『漫画探訪・月世界』の原稿と思われます。 他にも持ち込み的な描き下ろし原稿があったのかも知れません。 |
Q漫画探訪って? |
Aテラさん自ら編集した『漫画少年史』内の目次一覧によると、副題に『発電所』『自動車ショー』『羽田空港』などがあります。 感じからすると、当時の少年達に科学的だったり社会的だったりする施設を紹介したレポート漫画のようです。 ノスタルジックで叙情的、と謳われた森安氏の作風からはちょっと想像しがたいもので、ちょっと興味深いですよね。 |
Q漫画少年の中の森安作品、もっと詳しく! |
Aはい、『漫画少年史』の目次から拾ってみます。 新漫画党名義による合作以外の、ソロ作品のタイトルとページ数を挙げます。(号数の表記は西暦/月) 55.5『漫画探訪・ユネスコ村/2P』 55.6『町内野球大会/1P』 55.7『漫画探訪・自動車ショー/3P』 55.8『漫画探訪・空の玄関羽田空港/5P』…※藤子不二雄先生とタッグ組んでました 55.9『漫画探訪・発電所/4P』 55.10『漫画探訪・月世界/6P』…※廃刊となり世に出ず |
Q作品を見たいです。 どうにか読めませんか?(その1) |
A最も手軽なのはamazonのマーケットプレイス(古本市)などでトキワ荘関連本を購入する事です。 ただしこれらの本は絶版で、著作権の関係などから再版も難しいように思えます。 それ故に当時の本にはプレミアが乗り、資料的価値の高い『トキワ荘青春日記/カッパブックス』に至っては1万円もざらです。 結論として『トキワ荘青春物語/蝸牛社』が最も充実していて入手しやすいと言えます。 『トキワ荘青春物語』は自伝でもあるトキワ荘物語と名作『みかんが河に流れるころ』収録でお勧め。 後年の詩人・森安なおやを垣間見る事もでき、本人のイメージが最もよく伝わってくる一冊だと思います。 場所と希少度によりますが私はamazonで2千円程で購入しました。 文庫版(絶版)も出回ったので安価な方ではないでしょうか。 余談ですがこの本では石森・赤塚両氏の『墨汁一滴』時代の原稿など、かなり貴重な作品も見る事ができます。 |
Q作品を見たいです。 どうにか読めませんか?(その2) |
A『トキワ荘青春日記』は藤子不二雄著となっており、A先生の日記をメインに仲間達との対談を挟んでいる活字主体の本でです。 各先生の紹介として1P漫画を載せているのですが、ここにある『のんちゃんの夏だより』は完璧な形ではありません。 あのページはまんが道でも引用されているので惑わされがちですが、実は4Pの作品の1ページ目に過ぎません。 ここで『漫画少年史』。 ここでは『のんちゃんの夏だより』がフルサイズで収録されているので、1Pしか知らない方は必見です。 この辺りは図書館で借りられる事も多いですので、是非お近くの図書館で検索してみる事を勧めます。 何せ無料ですから! 『こけし地蔵さん』をはじめ、きんらん社の貸本についても児童書などを集めた一部の図書館に現存していると言う噂があります。 こちらもネット通販らしきページが時々ひっかかりますが、本当に安く確実に手に入るのかは疑問に思います。 (希少品だし、売り切れてそう…) |
Q作品を見たいです。 どうにか読めませんか?(その3) |
最新作にして、残念ながら遺作となってしまった『烏城(うじょう)物語』と言う本が、99年頃に出版されたそうです。 内容は故郷・岡山への郷愁を繊細なタッチと大胆な手法で描いたものらしい、と言われていますが、これも部数限定の為入手困難です。 この本は、森安先生の同窓生のご厚意によって自費出版のような形で1000部ほど発売されたとの事。 発売直後は大手の書店にも出回ったそうなのですが………。 |
Q『鑞ピーナッツ伝説』って本当? |
A藤子両氏がイタズラの仕込みとして用意した、鑞細工のピーナッツと品川巻き。 新漫画党員が次々と脱落していく中、一人黙々とそれを喰らっていたという森安先生。 『トキワ荘青春日記』の対談にも『鑞細工のピーナッツまでムシャムシャ食べちゃった食いしん坊』と言う見出しがあり。 『トキワ荘青春物語』内、風ちゃんこと鈴木伸一先生のトキワ荘物語の中では『だってうまいぜ、これ!』と一気食いします。 前者の対談によれば、皆がおかしい!たまったものじゃない!と騒ぐ中、一人ずーっと食べ続けていたそうです。 さすがに罪悪感をおぼえた藤子両氏は当時、『これ、ちょっと痛んでいるから…』と控えめに皿を引っ込めたという話。 |
Q最後に、解っているパーソナルデータ・略歴をまとめて教えてください。 |
A本名は森安 直(ただし)。 昭和9年(1934)11月9日生。 血液型は情報が無いため不明。 岡山市出身、果物商を営む実家の四男。 地元では天才と呼ばれ、高校時代から都内の出版者へ投稿を始める。 朝日新聞家庭版の漫画欄に入選。 田川水泡先生に卒業後に上京を勧められ、弟子入り。 師匠の原稿を届けに出版者に出入りするうち、少年クラブに細々と4コマが掲載されるようになる。 『新漫画党員の勧め』によりトキワ荘に入るが、漫画ブームを後目に貸本が主な『きんらん社』で黙々と少女漫画を描く。 (※『風ちゃん』『小池さん』こと、鈴木伸一先生と同居していた時期あり。 鈴木先生がアニメーターに転向する為トキワ荘を出た際、残り続ける) しかし漫画家業がはかどらず、牛乳配達など副業を始めたものの、家賃を6ヶ月滞納した末にトキワ荘を出た。 晩年は永島慎二先生の影響を受け詩人に転向とあります─。 (略歴参考資料…『トキワ荘青春物語』) |