第7分科会 行政の多重債務者対策分科会決議

 今般の貸金業規制法改正にあたり、貸金業者に対する参入規制強化・監督強化による業界側の貸し渋り等によって、資金需要者がヤミ金利用に至らないための方策が必要であり、単に法定刑の引き上げや警察による取締り強化といったヤミ金対策のみならず、資金需要者たる生活困窮者が容易にアクセスし簡便に利用可能な、行政が実施主体となる公的扶助制度の確立によるセーフティーネットの構築が必須であることは自明の理であり、国並びに地方自治体の責務とすら言える。

 本対策会議が平成17年に実施した全国自治体調査の結果によれば、例えば、国民健康保険料並びに国民年金、公営住宅家賃等の滞納率が約10年前と比較しても飛躍的に上昇している現実があり、滞納者に対し、滞納解消や現在の生活状況・債務の有無等について相談する面談の機会を設けるなど、生活困窮者に対しては幅広い配慮が必要といえる。

 また、生活福祉資金貸付制度や緊急小口融資といった行政による既存の融資制度については、一般市民に対して十分に広報されているとは到底言えず、また、利用にあたって保証人が必要で有利息であるのみならず融資・償還条件にも一定の制限が設けられており、多重債務者への貸付けもごく一部の自治体に限られこの10年間で貸付件数がむしろ減少するなど制度の利用が不活発であることは、先述の全国自治体調査の結果によっても明らかとなっており、抜本的な利用改善は多重債務被害救済の観点からも焦眉の課題と言える。

 また生活困窮者にとって最後のセーフティーネットといえる生活保護制度についても、いまだ行政による各地の窓口での違法対応によって健康で文化的な最低限度の生活を送る憲法上保障された権利すら侵害されている実情があることを我々は知っている。

政府提案の法案において今後内閣官房に設置予定の「多重債務者対策本部」を決して形骸化させてはならず、各都道府県における同趣旨の対策本部・連絡会の設置、各自治体における債務整理課の新設並びに市民課等相談窓口と福祉課や税務課などの各担当部署間の横断的連携、或いは対応する行政側の職員の教育及びそのための講師派遣なども含めたクレサラ被害者の会など他機関による関与など、対策本部が真に実効性のある組織となるよう要望・監視していく必要がある。

 現に、県としては長野県、市町村としては鹿児島県奄美市や滋賀県野洲市などに代表されるように、相談者の抱える債務整理の過程で債権者から返還を受けた不当利得返還金による滞納税金への充当など、各担当部署間の密な連携による組織的な取り組みが一部の自治体で先進的になされており、各自治体の市民に対する積極的な広報の強化等も含めて、これらの取り組みを全国各地の自治体で広範に浸透させるよう、本充実会議においても取り組みを強化していく必要がある。

以上を踏まえた上で、本分科会は、下記のとおり宣言し決議するものとする。

  1. 行政が、積極的に多重債務者からの相談を受け、その生活再建に資するために、専門的知見を習得させるための研修実施など相談窓口の担当者の資質向上及び育成に努力することを求める。
  2. 多重債務者の債務整理対策にその使途を限定した補助金を創設することを求める。
  3. 関係省庁に対して、多重債務者の債権者に対する行政からの介入通知に取り立て禁止効を付与することを求める。

平成18年11月17日
全国クレ・サラ・商工ローン・ヤミ金被害者交流集会in鹿児島
行政の多重債務者対策を充実させる全国会議

 

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